糖尿病は痩せれば治るのか?|完治しない理由と症状を軽減する方法

2021.08.20

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病は痩せれば治るのか?|痩せても完治しないが症状は軽減する

肥満気味で糖尿病と診断された方は、医師から「体重を減らしましょう」といわれているのではないでしょうか。一方、「糖尿病は発症したら治らない」や「糖尿病は痩せたら治る」など、巷には糖尿病にまつわる噂がたくさんあります。

痩せたら糖尿病が治るのであればダイエットにも気合いが入りますが、頑張っても治らないのであればやる気も起きませんよね。

この記事では、糖尿病は痩せたら治るのかについて見ていきます。

糖尿病は痩せれば治るのか?

結論からいうと、糖尿病は痩せたからといって完治する病気ではありません。では糖尿病患者の方がダイエットに取り組む意味はないのでしょうか。

実は、肥満の糖尿病患者が体重を5%減らすと糖尿病が治った状態(健康な人と同じ状態)に近づけることができることがわかっています。

食事をするとすい臓からインスリンが分泌され、血液中の糖を細胞に取り込みやすくします。しかし、肥満や運動不足があるとインスリン抵抗性を招くため、インスリンが分泌されても作用しにくく、血糖値が下がりません。そのため、肥満の方は体重を減らし、インスリン抵抗性を改善することが重要なのです。

糖尿病が治らない理由

そもそも、糖尿病には「完治する」という概念がありません。

糖尿病は発症しやすい体質(遺伝的要素)に生活習慣が組み合わさって発症します。治療(血糖コントロール)によって血糖値を下げることができたとしても、インスリンが効きにくかったり、インスリンの分泌が少ないといった血糖値が上がりやすい体質は変わりません。そのため、治療をやめて元の生活に戻るとすぐに血糖値が上がってしまうのです。

糖尿病は一度発症したら血糖コントロールを続けなければなりません。そういう意味では「糖尿病は完治することのない病気です」ただし、血糖コントロールを適切に行うことで健康な人と同じレベルを維持することができる病気でもあります。

▼こちらも併せてご参照ください
糖尿病は治る時代になった?最新の糖尿病治療について

糖尿病の原因

糖尿病は痩せれば治るのか?|完治しない理由と症状を軽減する方法

糖尿病には4つの種類がありますが、大別すると1型糖尿病と2型糖尿病にわけられ、それぞれ発症原因と治療法が異なります。以下で詳しく見ていきましょう。

・1型糖尿病の原因

1型糖尿病はほとんど、あるいは全くインスリンを分泌できなくなる病気です。後述する2型糖尿病と違い、1糖尿病は幅広い年齢で発症します。

1型糖尿病の原因はわかっていませんが、免疫が自分の細胞を攻撃してしまうこと(自己免疫)によってインスリンを分泌する細胞が破壊されるためと考えられています。1型糖尿病はインスリンをほとんど分泌できないため、注射で体の外からインスリンを補う必要があります。

・2型糖尿病の原因

2型糖尿病は体質などの遺伝的要素や生活習慣が組み合わさることでインスリンの分泌量が減ったり、インスリンの効きが悪くなることで発症します。

現在、日本の糖尿病患者の9割以上は2型糖尿病といわれています。2型糖尿病を招く生活習慣には以下のようなものがあります。

・過食
・肥満
・運動不足
・喫煙
・飲酒 など

なお、糖尿病は40歳以降で発症率が高くなるため、加齢も発症原因となります。ただ、現代人は生活習慣が乱れがちのため、年齢が若い人でも糖尿病を発症するケースがあります。

2型糖尿病の治療は食事療法と運動療法が基本となり、場合によって薬物療法も取り入れることになります。これについては後述します。

ストレスにより発症した糖尿病は治るか

前項で糖尿病は治療を続けたからといって完治する病気ではありませんと、お伝えしました。そのうえ、糖尿病の治療は生活習慣の改善や継続的な服薬などがあるためストレスがたまります。

実は、ストレスも血糖値を上げる原因になります。人間はストレスを感じるとアドレナリンやコルチゾールといったホルモンの分泌量が増えます。実はこれらのホルモンには血糖値を上げる働きがあります。さらにストレスは食習慣の乱れも招くことがあります。

そのため、血糖コントロールを行う際はストレスをコントロールすることも重要です。音楽鑑賞や入浴など自分に合ったストレス対処法(ストレスコーピング)を見付け、実践することが大切です。

現在の糖尿病治療

糖尿病は痩せれば治るのか?|完治しない理由と症状を軽減する方法

ここまで説明したとおり、糖尿病治療(血糖コントロール)は健康な人と同じ状態を維持することを目的としています。

糖尿病治療で行う血糖コントロールは以下の3つが基本になります。

・食事療法
・運動療法
・薬物療法

1)食事療法

糖尿病と診断されたらまず食事療法と運動療法で血糖コントロールを行います。食事療法といっても、食べてはいけないものがあるわけではなく、以下の5つのポイントを押さえた食事を心がけることが大切です。

・適正なエネルギー量の食事を摂る
・栄養バランスの良い食事を摂る
・3食(朝・昼・夕)規則正しく食べる
・よく噛んでゆっくり食べる
・夜食は避ける

適正なエネルギー量は人によって異なります。医師と相談のうえ、指示されたエネルギーを守ることが大切です。

食事療法の関連記事はこちら

2)運動療法

血糖コントロールに有効な運動には有酸素運動と筋力(レジスタンス)トレーニングがあります。有酸素運動をすると血中のブドウ糖が細胞に取り込まれやすくなるため血糖値が下がりやすくなります。また、筋力トレーニングで筋肉を増やすことで、さらにインスリンの効果が現れやすくなります。

有酸素運動

有酸素運動として代表的なものに以下のようなものがあります。

・ウォーキング
・ジョギング
・水泳 など

3)筋力(レジスタンス)トレーニング

筋力トレーニングとして代表的なものに以下のようなものがあります。

・ダンベル運動
・腕立て伏せ
・腹筋運動 など

運動療法の関連記事はこちら

薬物療法

糖尿病では食事療法と運動療法から取り組むのが基本ですが、それでも血糖値の改善が見られない場合は薬物療法を取り入れることになります。

糖尿病で使用する薬はインスリンの効果を高めるものやインスリンの分泌量を増やすもの、注射によって外からインスリンを補充するものなどがあります。

薬物療法の関連記事はこちら

まとめ・糖尿病は痩せれば治るのか?|痩せても完治しないが症状は軽減する

糖尿病は完治する・しないというものではありません。血糖コントロールによって健康な人と同じ状態を維持することを目指すことが糖尿病の治療になります。したがって、糖尿病は痩せたら治るというものでもありません。

監修:医師 坂本貞範

 

▼再生医療という治療補で糖尿病から身体を守る!詳細はこちら
https://fuelcells.org/treatment/diabetes/

このカテゴリーの最新コラムはこちら

前後のコラムはこちら