糖尿病の初期段階の方の食事方法を説明|メニューやレシピも紹介

2021.08.23

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病患者の方の治療で食事療法は基本です。特別に避けるべき食べ物はありませんが、いざ食事のメニューを考える場合、困る人は多いです。

糖尿病患者の方に対応した料理のレシピは、実はそれほど難しくありません。簡単に調理できるのに、しっかり糖尿病対策ができて、おいしい料理のつくり方を紹介します。

糖尿病治療における食事の重要性も併せて解説していきます。

糖尿病は初期の段階での治療が大切

糖尿病を発症したら、早い段階での治療が重要になってきます。なぜなら、きちんと治療をすれば、今までの健康な状態と変わらない生活を送れる可能性があるからです。逆に、初期の段階で治療に取り組まないと次のようなリスクを高めてしまいます。

・血管がもろくなって血管病になる
・慢性糖尿病合併症が起こる
・急性糖尿病合併症が起こる

こうした病気に進んでしまうと生活の質が下がるだけでなく、命に関わる事態に陥ることもあります。今回紹介する糖尿病対策の食事は、糖尿病の進行を食い止め、合併症などを防ぐことにつながります。

食事療法の必要性

食事療法は糖尿病治療において必要不可欠な治療法です。食事療法とは、適切なエネルギー内で栄養バランスが取れた食事をすることに重点が置かれます。

糖尿病は、すい臓のインスリン分泌や働きが乏しかったり、分泌しなくなった場合に発症します。食事療法によってブドウ糖の摂取量をコントロールすると、すい臓への負担が軽くなり機能回復を図れるかもしれません。

また食事療法を徹底すると薬物療法の効果を高めることが期待でき、インスリン補給による血糖値のコントロールがしやすくなります。食事療法は全ての糖尿病患者の方の治療の基本です。医師や管理栄養士の指示にしたがって正しい食事療法に取り組んでください。

こちらも併せてご参照ください
糖尿病の食事療法のポイント|内科専門医師が配信

糖尿病患者の食事のポイント

糖尿病の初期段階の方の食事方法を説明|メニューやレシピも紹介

糖尿病患者の方の食事のポイントには、次のようなものが挙げられます。

  • 1日3回規則正しく食べる
  • 適切な食事量を守る
  • 栄養バランスを取る

ひとつずつ解説していきます。

1日3回規則正しく

1日3回規則正しく食べることで、1回ずつの食事で適切な量を摂ることができます。一度に「ドカ食い」すると血糖値が一気に上昇して大量のインスリンが必要になり、すい臓に負荷がかかりすぎてしまいます。

規則正しく食事を摂ることで、食事による血糖値の上昇が緩やかになり、すい臓の負担を軽くできます。また間食はなるべく控えて、我慢できないときだけ摂るようにしてください。

適切な食事量を守る

適切な食事量(エネルギー量)を守ることで血糖値の上昇や合併症のリスクを低下させることが期待できます。

適切なエネルギー量は次の計算式で算出します。

<1日のエネルギー量の計算方法>

  • 1日のエネルギー量(kcal)=身体活動量×標準体重
  • 身体活動量
    軽い労作(デスクワークが多い人)25~30kcal/kg
    普通の労作(立ち仕事が多い人)30~35 kcal/kg
    重い労作(力仕事が多い人)35~kcal/kg
  • 標準体重(kg) = 身長(m)×身長(m)×22

栄養バランスに注意する

栄養バランスの良い食事とは主食・主菜・副菜を意識することです。糖尿病患者の方は炭水化物の摂りすぎに注意が必要ですが、「炭水化物ゼロ食」はおすすめできません。適切な量を摂取することが重要です。

以下の表は、3大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)とビタミン・ミネラルを含む食材と、その食材の特性を表したものです。食材選びの参考にしてください。

三大栄養素と食材

 

糖尿病の初期段階の方の食事方法を説明|メニューやレシピも紹介

食品交換表では、1単位80kcalで計算します。例えば、1日1,200kcalの摂取を指示された糖尿病患者の方は、15単位分の食品を選ぶことになります。計算式は次のとおりです。

  • 1,200kcal÷80kcal=15単位

食品交換表を使って食材を選んで調理すれば、自然に栄養バランスのよい献立になります。

糖尿病の食事におすすめのメニューとレシピ

食事に悩む女性

糖尿病に配慮しながら、簡単につくることができて、さらにおいしい食事のつくり方を紹介します。

鮭としめじの柚子こしょう炒めの作り方

鮭でボリューム感を出しながら、免疫力を高めるしめじを使います。さらに食物繊維を多く摂ることができます。

<材料(1人分)>

  • 生鮭:1切れ(80g)
  • 塩:少々
  • こしょう:少々
  • しめじ:1/袋
  • 玉ねぎ:1/8個

<A>

  • 醤油:小さじ1/2
  • みりん:小さじ1
  • 酒:小さじ1
  • 柚子こしょう:小さじ1/4
  • サラダ油:小さじ1

<つくり方>

  1. 鮭は3等分に切り、塩、こしょうを振る
  2. Aをまぜておく
  3. しめじは石づきをとり、小房に分け、玉ねぎはくし形に切る
  4. フライパンにサラダ油をひき、鮭を焼く
  5. 鮭に火が通ったらしめじと玉ねぎを加えさらに炒める
  6. 火が通ったら、Aを加えてからめる

もずくとトマトの黒酢和え

ビタミンやミネラルが豊富な海藻とトマトを同時に食べることができます。

<材料(2人分)>

  • もずく:120g
  • トマト:中1/2個
  • 黒酢:大さじ1
  • 砂糖:小さじ1/2
  • しょう油:小さじ1/4

<つくり方>

  1. もずくを水洗いをしてざるにあける
  2. トマトをさいの目状に切る
  3. 黒酢、砂糖、しょう油を合わせる
  4. ボールにもずく、トマト、3を入れ全体を混ぜ合わせる

H3. エビとパプリカのガーリック炒め
免疫力を高めるニンニク(ガーリック)を使った料理です。

<材料(2人分)>

  • エビ:100g
  • 赤パプリカ:30g
  • 黄パプリカ:30g
  • ピーマン:30g
  • 長ネギ:20g
  • にんにく:1片
  • ごま油:大さじ1
  • 顆粒中華だし:小さじ1
  • 塩:少々
  • こしょう:少々

<作り方>

  1. 赤パプリカ、黄パプリカ、ピーマンは乱切り、長ネギは斜め切りにする
  2. にんにくをみじん切りにする
  3. フライパンにごま油をひき、にんにくを入れ弱火で香りが出できたらエビを入れ、中火で炒める
  4. エビに火が通ってきたら1を入れ、中華だし、塩、こしょうで味を整える

まとめ・糖尿病の初期段階での食事をご説明

紹介したレシピのとおり、糖尿病対策の食事づくりは難しくありません。食品交換表をみながら、食材を変えれば、簡単に食事のレパートリーを増やすこともできます。

糖尿病患者の方も、とくに食べてはいけない食べ物はありません。1日のエネルギー量を超えないように注意しながら、栄養バランスに気をつけたメニューで食事を楽しみましょう。

 

監修:医師 坂本貞範

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