再生医療が注目を集めています。どんな医療なのか?
再生医療とは、ヒト、できれば本人の、神経や骨などを人工的に作り、組織や臓器を修復する治療法。米ウイスコンシン大学グループは1998年、ほとんどの細胞に分化できる胚性幹細胞(ES細胞)を開発して具体化しました。2002年には、米ミネソタ大グループが骨髄幹細胞から同様の細胞を開発しました。欧米や日本のグループが相次いで、両細胞から皮膚や神経、血管などを作ることに成功しました。また、従来の技術による培養皮膚や血管、心筋などの再生も、実用レベルに達しています。02年4月には、第1回日本再生医療学会も開催された。骨髄幹細胞から血管や皮膚の再生、人工材料を組み合わせた再生血管移植手術などの臨床応用も始まっています。07年11月,京都大学の山中伸弥教授の研究グループがヒトiPS細胞樹立(心筋細胞などさまざまな細胞に分化増殖させること)に成功しました。
「幹細胞」による再生医療
再生医療で注目されている幹細胞は大きく3種類
現在、私たちが再生医療として受けることができる、もしくは将来その可能性がある幹細胞は、大きく3種類あります。それは、もともと私たちのからだの中に存在している「体性幹細胞」と、胚(受精卵)から培養してつくられる「ES細胞」、人工的に作製される「iPS細胞」です。
この大きく3種類の幹細胞の中で、最も医療への応用が進んでいるのは「体性幹細胞」です。人間の体の中にもともとある細胞を使うため、治療に応用しやすい特徴があります。
「体性幹細胞」による細胞移植治療
「体性幹細胞」には、いくつか種類があり、その代表的なものに「間葉系幹細胞」があります。「間葉系幹細胞」は、骨、軟骨、脂肪細胞などいくつかの異なった組織や臓器に分化する能力があります。
1970年代には骨髄の中にあることが発見されていた「間葉系幹細胞」は、治療が困難な脊椎損傷や肝機能障害などの治療に期待されており、これまで骨髄由来の「間葉系幹細胞」の治療への実用化を目指して、臨床研究が多く行われてきました。ところが、骨髄由来の幹細胞は採取できる量が限られており、移植するには体外で培養し、増殖しなければならないことが多く、感染や異物の混入などを防ぐための幹細胞培養施設(CPC)も必要になります。
一方、最近、注目され始めているのが脂肪由来の「間葉系幹細胞」です。2001年に骨髄由来と同等の能力があり、なおかつ、より大量に確保できる脂肪由来の「間葉系幹細胞」が発見されてからは、これを関節軟骨などの再生治療に応用する研究が行われるようになりました。
承認情報(再生医療等製品一覧)
承認された再生医療等製品の審査報告書、申請資料概要を以下の一覧にて公表しています。
承認審査情報の一覧
販売名 | 承認取得者名 | 一般的名称 | 対象疾患 | 承認年度 |
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キムリア点滴静注 | ノバルティスファーマ株式会社 | チサゲンレクルユーセル | 再発または難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病・再発または難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 | 平成30年度 |
コラテジェン筋注用4mg | アンジェス株式会社 | ベペルミノゲン ペルプラスミド | 慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症およびバージャー病) | 平成30年度 |
ステミラック注 | ニプロ株式会社 | ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞 | 外傷性脊髄損傷 | 平成30年度 |
ジェイス | (株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング | ヒト(自己)表皮由来細胞シート | 重症熱傷・先天性巨大色素母斑・栄養障害型表皮水疱症及び接合部型表皮水疱症 | 平成30年度 |
テムセルHS注 | JCRファーマ(株) | ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞 | 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病 | 平成27年度 |
ハートシート | テルモ(株) | ヒト(自己)骨格筋由来細胞シート | 虚血性心疾患による重症心不全 | 平成27年度 |
ジャック | (株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング | ヒト(自己)軟骨由来組織 | 膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く) | 平成24年度 |
注意事項
・個々の再生医療等製品の承認に係る審査報告書及び申請資料概要を、PDF化したものを掲載しています。
・本情報は、各再生医療等製品の承認時点のものです。当該再生医療等製品の使用に当たっては、最新の使用上の注意等を併せて読まれるようお願いし ます。
・自ら所属する医療機関、薬局等において使用することを目的とする場合を除き、本情報の内容を情報提供者に無断で複製、転載、頒布する等の行為を禁じます。
・公表対象は、薬事
・食品衛生審議会再生医療等製品
・生物由来技術部会において審議された品目に限ります。
・平成27年度(平成27年9月分)より掲載しております。