糖尿病リスクの高い食事を紹介|食生活を見直せば病気の予防も可能
国内で糖尿病の可能性がある人口は、約1,000万人と推計されており、正に国民病とされています。
糖尿病を予防したり、糖尿病の改善に欠かせないのが、食生活の見直しです。なぜなら食事の量や栄養素の配分を調節することにより、血糖値をコントロールできるようになるからです。
しかし「糖尿病対策の食事」と聞くと、難しそうに感じる方もいるでしょう。そこで本記事では、糖尿病患者の方や糖尿病予備軍の方の理想の食事について考えていくことにします。
糖尿病リスクの高い食事の特徴
糖尿病を発症させたり糖尿病を悪化させたりする可能性がある食事とは、次の3つの食事です。
・高血糖を招く食事
・高カロリーな食事
・高脂質な食事
3つについて順番に説明していきます。
高血糖
高血糖のリスクを高めるのは、糖類を多く含んだ食材です。糖類のなかでも、ケーキや菓子パンなどに多く含まれる単糖類は特に血糖値を急激に上げてしまうので、避けたほうがよいでしょう。
また、パン・おにぎりだけの食事やラーメンといった一品料理は、栄養バランスが炭水化物に偏っており血糖値を上げやすいので、こちらも避けてください。おやつなどの間食が多い人も、血糖値を高くしてしまいますので控えましょう。
高カロリー
過食や糖分の多い食事は高カロリーになります。必要以上のカロリー摂取は肥満や高血糖を引き起こし健康を害します。
日本人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少ないので、欧米化した高カロリー食ばかりを食べていると、糖分の処理が間に合わず高血糖状態が続くことになります。
また清涼飲料水は飲みやすいですが糖分が多いので、気づかぬうちにカロリーを過剰に摂取している場合があります。ごくごく飲んでしまわないようにしてください。
清涼飲料水の糖の種類によっては吸収が早いものがあり体重増加を招いてしまいます。肥満も糖尿病リスクを高めてしまいまうので、糖尿病の可能性がある際は我慢することをお勧めします。
高脂質
高血圧の人が糖尿病を発症するリスクは、普通の人の2~3倍といわれています。高脂質の食事を日常的に摂ると高血圧になりやすいので、糖尿病リスクも大幅に上昇させてしまいます。脂質が多い食事で代表的なのは肉類です。食事に取り入れる際は、料理する前に脂身を取り除くだけでも脂質の摂取を抑えることができます。
また、肉を避け、代わりに魚や大豆製品をメインにしたメニューに切り替えると脂質を抑えることができます。
糖尿病の危険度をチェック
糖尿病の危険度を高める原因をチェックしておいてください。できるところから気をつけることが糖尿病予防につながります。
・血圧が高い
・若いころより10㎏以上太った
・食べすぎる傾向がある
・お酒を多く飲む
・間食が多い
・甘いものが好き
・脂っこいものが好き
・濃い味が好き
・夕食を22時以降に摂ることが多い
・朝食を食べない
・3食の時間が定まっていない
・野菜が嫌い
・海藻が嫌い
・キノコが嫌い
・家族の糖尿病患者がいる
・40歳以上
・早食い
・運動が嫌い
・ストレスが多い
・健康診断を受けていない
糖尿病予防に効果のある食事
糖尿病は食事の改善で発症を防ぎ、発症しても食生活を気を付けることで病気の進行を遅らせられます。
そこで、糖尿病予防のための食事について、次の3項目に分けて詳しく解説します。
・糖尿病予防に良い食べ物
・糖尿病予防のためのカロリー計算の方法
・糖尿病予防に役立つ食事メニュー
糖尿病予防に良い食べ物
糖尿病治療に「これだけを食べれば大丈夫」という万能な食材は、ありません。また食べてはいけない制限されている食材もありません。炭水化物の摂りすぎは糖尿病のリスクを高めることがありますが、炭水化物は3大栄養素の1つで、体に必要な栄養素なので全く摂取しないのは、お勧めできません。
栄養のバランスよく、さまざまな食材を適切な量、食べましょう。
以下の表は、3大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)とビタミン・ミネラルを含む食材とその食材の特性を表したものです。食材選びの参考にしてください。
糖尿病予防のためのカロリー計算
適切な食事量(エネルギー量)を守ることで血糖値の上昇や合併症のリスクを低下させることが期待できます。
適切なエネルギー量は次の計算式で算出します。
<1日のエネルギー量の計算方法>
・1日のエネルギー量(kcal)=身体活動量×標準体重
・身体活動量
軽い労作(デスクワークが多い人)25~30kcal/kg
普通の労作(立ち仕事が多い人)30~35 kcal/kg
重い労作(力仕事が多い人)35~kcal/kg
・標準体重(kg) = 身長(m)×身長(m)×22
また食品交換表をもとに、食べる量を計算するのも有効です。食品交換表には次のように記載されています。
食品交換表では、80kcal=1単位と取り決められているので、医師から指示された1日のエネルギー量に沿って計算します。
例えば、1日1,200kcalの摂取を指示された糖尿病患者の方は、15単位分の食品を選んで食べれば適正量になります。計算式は次のとおりです。
・1,200kcal÷80kcal=15単位
食品交換表を使って食材を選んで調理すれば、自然にバランスのよい献立になります。
糖尿病予防に役立つ食事メニュー
糖尿病予防に役立つ献立の組み立て方の基本は次のとおりです。
・主菜を肉もしくは魚から1品選ぶ
・野菜、きのこ、海藻から主菜に合うものを1~2品選ぶ
・汁物から1品選ぶ
・乳製品と果物でカルシウム、ビタミンを補給
この4項目を気をつけておけば、食材選びに悩まず糖尿病を予防する献立がスムーズに決まります。
まとめ・糖尿病リスクの高い食事を紹介|食生活を見直しで病気の予防も可能
糖尿病は1度発症すると完治することのない病気です。
糖尿病発症の原因の1つは食生活の乱れなので、食習慣を改善することで、発症を予防することができます。もし糖尿病が発症した場合も治療の基本として、食事療法に取り組むことが重要です。
食習慣の改善は、好みと違った食事のメニューに慣れるまでは不満に感じるかもしれませんが、変えていくことで糖尿病発症リスクと重症化リスクを減らせるので十分取り組む価値があります。
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