糖尿病の初期症状とは|目や手足に異変が現れたら要注意|内科専門医師が配信

2021.08.20

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病は早めに治療すると病気の進行を食い止めることが期待できる一方で、治療が遅れたり病気を放置したりすると、失明や足の切断、命に関わる合併症の発症といった「重大な結果」を招くことになります。

したがって糖尿病は初期症状をとらえることが重要になりますが、初期では自覚症状が出ないことがあります。

自覚症状を感知できたときには糖尿病が進んでいた、ということも珍しくありません。

小さな兆候でも初期段階で見逃さないようにしたいところです。糖尿病の初期症状を徹底解説します。ポイントは目と手足です。

糖尿病の初期症状

国立循環器病研究センターは、糖尿病の初期症状で最も恐いのは「症状がないこと」としています。これが糖尿病の初期症状の把握を難しくしています。

比較的早期に現れる症状としては、次のようなものがあります。

・目がかすむ
・手足の痙攣(けいれん)
・頻尿気味になる(逆に尿が出にくくなることもある)
・喉が渇きやすくなる
・手足にイボやタコができやすくなる
・足がしびれる
・足が冷える
・皮膚が乾燥する
・性機能の低下

このうち「目がかすむ」「手足の痙攣」「頻尿気味になる」「喉が渇きやすくなる」「手足にイボやタコができやすくなる」の症状について以下で詳しくみていきます。

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目がかすむ

糖尿病を発症すると、目がかすむ、ピントが合わない、視力が落ちる、といった目の障害が発生します。

糖尿病患者の方は涙の量が少ないことが多いため、ドライアイになり、かすみ目になる傾向があります。

また、高血糖状態が続くと、水晶体が濁りやすくなり、白内障を併発することも多いです。

一方、糖尿病は「血管の病気」という一面もあります。糖尿病を発症すると血管が壊れてしまうのです。

目には細小血管(毛細血管)が走っているので、糖尿病患者の方に目の支障が現れるのです。

手足の痙攣

痙攣やしびれやむくみ、皮膚の乾燥といった異常が手足に現れるのも糖尿病の症状の特徴です。

血管は心臓から離れるほど細くなり、手足の先端には最も細い血管が走っています。糖尿病によってその細い血管「細小血管」が壊されてしまいます。

また、糖尿病患者の方は神経にも支障をきたします。

神経には、触って感じる感覚神経や、手足を動かす運動神経、血圧や内臓の動きを調節する自律神経があります。糖尿病になると末梢神経の代謝が悪くなることがあります。

さらに、血管に支障が出ることで末梢神経に栄養と酸素が届かず、神経が働かなくなることもあります。

糖尿病の患者の方のなかには、ガラスの破片を踏んで大量に出血したにも関わらず痛みを感じないこともあります。これは感覚神経が壊れているからと考えられます。

頻尿気味になる

1日に8回以上排尿すると頻尿と診断されます。多尿とは1回の尿量が3リットル以上になることです。

糖尿病を発症すると頻尿や多尿の症状が出ます。

血糖値が上がると、糖の濃度を下げようとして全身の細胞から水分が出ていきます。

その結果、喉が渇いて多飲することになり尿が増えます。また、糖尿病によって末梢神経が壊れることで神経因性膀胱になり、夜間頻尿になることもわかっています。

また糖尿病が進むと尿をつくる腎臓にも問題が生じます。尿は腎臓にある糸球体という細かい血管によってろ過されます。

しかし、糖尿病が進むと血管を傷つけてしまうため、尿をそのまま出してしまいます。

これをたんぱく尿といいます。もし尿の泡立ちが目立つという場合は尿にたんぱくが混じっている可能性もあります。

喉が渇きやすくなる

糖尿病患者の方が、喉が渇きやすくなるのは血糖値が上昇しているからです。

体の防御機能として、血糖値が上昇すると糖の濃度を下げようとして全身の細胞から水分が出ていき、尿の量が増えます。その結果水分を欲するようになるのです。

手足にイボやタコができやすくなる

糖尿病の患者の方の手足にイボやタコができやすくなるのも、末梢血管と末梢神経の異常が関係しています。

糖尿病が進むと血行が悪くなります。そのため手足にイボやタコができやすくなります。

また、糖尿病は神経を傷つけますので、ケガややけどをしても気付きにくく、さらに治りにくいので、放置してしまうことがあります。

糖尿病患者の方や糖尿病が疑われる人の手足にイボやタコができたら、早急に医療機関にかかってください。

イボやタコなどの異変を放っておくと手足が壊死することもあります。壊死とは体の一部分の細胞が死滅することですので、最悪の場合手足を切断することになります。

この点は次の章で詳しくみていきます。

糖尿病による足の壊死の初期症状

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それでは足の壊死について解説していきます。

足の壊死にいたる前の初期症状には次のようなものがあります。

・しびれ
・痛み
・こむら返り
・できもの
・皮膚の乾燥
・皮膚のひび割れ

いずれも、「なにかおかしいな」と思うだけで放置しやすい症状だけに注意する必要があります。

これらのサインが現れたら、早めに内科クリニックや糖尿病専門のクリニックを受診したほうがいいでしょう。

前述のように、糖尿病による足の壊死には血流障害と神経障害が深く関わっています。血流が悪くなるとタコやイボなどの症状が出やすくなります。

また神経障害があると知覚が鈍くなって痛みを感じにくいため、病変に気付きにくくなります。

さらに、糖尿病患者の方は免疫機能が低下しているため感染症が悪化して壊死へと進むこともあります。

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引用元:DMTOWN

糖尿病の初期症状のセルフチェック方法

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糖尿病の初期段階ははっきりした自覚症状がなく、発見したときには症状が進んでいる場合が多くあります。そのため、初期段階でのセルフチェックが重要になります。
糖尿病の初期症状には上記を含め次のようなものがありますので、チェックしてみてください。

・食べてもやせる
・空腹がはげしくなる
・空腹時にイライラする
・喉が渇く
・疲れやすい
・尿が多くなる
・排尿が頻回になる
・目がかすむ
・手足がしびれる
・手足に異常が現れる
・陰部がかゆい

こうした症状がみられたらメモ書きしておき、医師に症状を説明してください。

まとめ

糖尿病は初期段階で治療に取り組むことが大切です。そのためには初期症状の把握が不可欠です。

特に手足や目の症状はチェックしやすいため、初期症状の特徴を覚えておき「おかしいな」と感じたら医師に相談しましょう。

 

監修:院長 坂本貞範

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