【糖尿病】合併症の症状は皮膚にでることもある?|内科専門医師が配信

2021.08.20

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病を発症すると皮膚に影響が出ることがあります。多くの糖尿病患者の方が、乾燥やかゆみ、痛みなどの肌のトラブルに悩まされています。

糖尿病患者の方に皮膚の病気が出てしまう原因を解説しながら、予防法についても紹介します。

皮膚に影響がでてしまう原因

糖尿病の患者の方に現れる症状のうち、皮膚や肌に関係するものは次のとおりです。

・乾燥する
・かゆい
・ちくちくと指すような痛みがある
・手足の感覚がない
・切り傷が治りにくい

血糖値が上がると、皮膚の水分が失われ乾燥肌になりやすくなります。乾燥した皮膚は傷つきやすいので、かゆみが生じたり、痛みが走ったりします。

さらに皮膚の傷から、感染症を引き起こす細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなります。

しかも糖尿病患者の方は免疫が落ちているので細菌やウイルスと闘えなくなり、感染症が発症しやすくなるのです。

免疫は外界の攻撃や刺激から皮膚を守る機能を備えています。では、なぜ糖尿病を発症すると免疫が低下してしまうのでしょうか。

免疫の機能を担っているのは白血球です。白血球は、体内に侵入しようとするウイルスや細菌と闘います。糖尿病患者は血流が悪くなり、特に細い血管に血液が届きにくくなります。

血液が届かないということは、血液中の白血球も届かないということです。さらに高血糖になると白血球や免疫機能が低下してしまいます。

その結果、ウイルスや細菌に負けてしまい、感染症を起こしやすくなるのです。また、感染症に起こしてしまうと治療に時間がかかることになります。

こちらも併せてご参照ください
糖尿病による湿疹|皮膚病変の症例と対策方法
糖尿病が原因の皮膚の症状をそれぞれ解説

皮膚に影響がでる合併症の種類

糖尿病患者の皮膚のトラブルとして知られているのは次の病気です。

・陰部、爪、趾間(足の指と指の間)のカンジダ症
・足の白癬(水虫)
・足底(足の裏)や下腿(膝から足首までの部位)の水疱症

カンジダ症や白癬は真菌という細菌に感染することによって発症します。糖尿病患者の方は真菌を排除する力が弱っているので、常に体を清潔に保つ必要があります。

また糖尿病患者の方は、足底や下腿に「いつの間にか」水泡がでてきていることがあります。水泡が破裂すると、そこがウイルスや細菌の「入口」になり感染症につながってしまいます。

組織を壊疽させる(腐らせる)感染症にかかると、最悪、足を切断することになりかねません。

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足の合併症を事前に防ぐ方法

糖尿病患者の方が足のトラブルを回避するには、患者の方ご自身が自分の足を毎日確認することが欠かせません。

足に異変を感じたら、すぐに主治医に相談してください。

足の観察やケアは以下のように行ってください。

・ちょうどよいサイズの靴を履く(靴で足を傷つけないようにする)
・足を常に清潔に保つ(ウイルスや細菌を常に排除する)
・爪を切るとき深爪をしない(ウイルスや細菌の侵入経路をつくらない)
・やけどに注意する

糖尿病患者の方は感覚に関与する神経が障害されるので、合併症ややけどなどによる異変や痛みを感じにくくなっています。そのため「意識的に」足をチェックする必要があるのです。

まとめ

糖尿病を発症すると免疫力が低下します。免疫は体の「防御壁」の1つですので、糖尿病患者の方は常に無防備にある、といっても過言ではありません。

そのため、患者の方は一般の人より、ウイルスや細菌、感染症、皮膚の異常に敏感になる必要があります。体を清潔に保ったり、こまめに足の観察を行うようにしてください。

 

 

監修:院長 坂本貞範

 

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