初期の段階
2型糖尿病の人では、何年にもわたり症状が現れないか、あってもごく軽い症状になります。
しかし、血糖値が160~180mg/dLを超えると尿中に糖が出てきて、血糖値が上がるにしたがって腎臓が大量の糖を薄めるために余分な水分を排出して、尿を過剰に作るようになるので、大量の尿が頻繁に出るようになります。
そして、尿が大量に出ると、とてものどが渇くようになります。また、カロリーの多くが尿で失われるので、体重が落ち、強い空腹感を感じます。排尿の増加とのどの渇きははじめのうちは軽度ですが、数週間あるいは数ヵ月を過ぎると徐々に悪化します。
そして、疲労感、眼のかすみ、眠気、吐き気、運動持久力の低下といった症状が出ることがあります。
中期の段階
血糖値がとても高い状態が長期間にわたって続くと、多くの場合、糖尿病の合併症が起こります。合併症は糖尿病になって数ヵ月のうちに始まるものもありますが、その多くは数年が経過してから症状が現れます。
合併症の多くは進行性で、血糖値を厳密にコントロールしている人ほど合併症を発症したり悪化することが少ない傾向にあります。
なぜ合併症がおこるのか?
血糖値が高い状態が続くと、細い血管が詰まったり、血管から物質が漏れるようになります。すると、糖尿病の三大合併症と呼ばれる糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症の危険性が高まります。
これらの合併症は、手や足などの末梢神経や網膜または腎臓の細い血管に障害が起こることによって発症するので、「細小血管症」とも呼ばれます。
また、血糖値が高くなると全身の太い血管の動脈硬化も促進されるので、心筋伷塞、脳伷塞、下肢の閉塞性動脈硬化症などを発症することがあります。太い血管に障害が起きて発症するので、大血管症とも呼ばれます。
実際に、糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて動脈硬化が起こりやすく、「糖尿病」と診断される前から始まっているという報告もあります。そしてさらに糖尿病が重症化すると、意識障害や糖尿病昏睡などのより重い合併症を発症する場合もあります。
多くの場合、これらの合併症は自覚症状がないまま進行するため注意が必要です。
- 脳梗塞…麻痺や失語などの後遺症を残したり、介護が必要になったり死に至ることも
- 心筋梗塞…強い胸の痛みがあり、死に至ることも
- 糖尿病網膜症…視力が低下し、最終的に失明することも
- 糖尿病腎症…腎機能低下や腎不全を起こし、透析が必要になることも
- 糖尿病神経障害…足や手にしびれや痛みが起こり、壊疽を起こして切断しなければならなくなることも
- 感染症にかかりやすくなる/傷が治りにくくなる/歯周病が悪化する/排尿障害/ED(勃起障害)