糖尿病と診断されたらどのくらい治療費がかかるのか、継続的に支払うことができるのかなど心配になる人もいるでしょう。糖尿病の治療は長期におよぶことも少なくないため、経済的な負担を減らす方法も知っておきたいですよね。
この記事では糖尿病治療にはどのくらい費用がかかるのか、また支払いが困難な場合に経済的な負担を減らす方法について解説します。
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インスリン治療の注射にかかる費用
糖尿病は継続して治療を行う必要があるため、治療費がどのくらいかかるのかを知っておく必要があります。以下ではインスリン治療の注射を導入した際にかかる費用について3つの例で説明します。
受診と経口薬(1日1種類)+インスリン療法(1日4回)+血糖自己測定(月60回以上)
受診と経口薬(1日1種類)+インスリン療法(1日4回)+血糖自己測定(月60回以上)にかかる費用の内訳と目安の金額は以下となります。
【診察に関する費用】
・外来診察料
・在宅自己注射指導管理料(28回以上)
・血糖自己測定指導加算(60回以上)
・処方箋料
・検査料など
①診察費用合計:23,000円 ※10割負担の場合(3割負担の場合6,900円、1割負担の場合2,300円)
【薬に関する費用】
・調剤基本料
・服薬情報等提供料
・内服薬調剤料
・注射薬調剤料
・薬剤服薬歴管理指導料
・薬剤料など
②薬費用合計:16,400円 ※10割の場合(3割負担の場合4,920円、1割負担の場合1,640円)
トータル支払額:①+②=39,400円 ※10割負担の場合(3割負担の場合11,820円、1割負担の場合3,940円)
受診と経口薬(1日1種類)+GLP-1受容体作動薬(1日1回)+血糖自己測定(月60回以上)
受診と経口薬(1日1種類)+GLP-1受容体作動薬(1日1回)+血糖自己測定(月60回以上)にかかる費用の内訳と目安金額は以下となります。
【診察に関する費用】
・外来診察料
・在宅自己注射指導管理料(28回以上)
・血糖自己測定指導加算(60回以上)
・処方箋料
・検査料など
①診察費用合計:23,000円 ※10割負担の場合(3割負担の場合6,900円、1割負担の場合2,300円)
【薬に関する費用】
・調剤基本料
・服薬情報等提供料
・内服薬調剤料
・注射薬調剤料
・薬剤服薬歴管理指導料
・薬剤料など
②薬費用合計:24,110円 ※10割負担の場合(3割負担の場合7,230円、1割負担の場合2,410円)
トータル支払額:①+②=47,110円 ※10割の場合(3割負担の場合14,130円、1割負担の場合4,710円)
受診と経口薬(1日1種類)+インスリン療法(1日4回)+GLP-1受容体作動薬(1日1回)血糖自己測定(月60回以上)
受診と経口薬(1日1種類)+インスリン療法(1日4回)+GLP-1受容体作動薬(1日1回)血糖自己測定(月60回以上)にかかる費用の内訳と目安金額は以下となります。
【診察に関する費用】
・外来診察料
・在宅自己注射指導管理料(28回以上)
・血糖自己測定指導加算(60回以上)
・処方箋料
・検査料など
①診察費用合計:23,000円 ※10割負担の場合(3割負担の場合6,900円、1割負担の場合2,300円)
【薬に関する費用】
・調剤基本料
・服薬情報等提供料
・内服薬調剤料
・注射薬調剤料
・薬剤服薬歴管理指導料
・薬剤料など
②薬費用合計:20,470円 ※10割負担の場合(3割負担の場合6,140円、1割負担の場合2,050円)
トータル支払額:①+②=43,470円 ※10割(3割負担の場合13,040円、1割負担の場合4,350円)
インスリン治療の注射の費用が払えない場合は
ほとんどの方は健康保険証があれば3割(75歳以上は1割)まで治療費の自己負担を抑えることができますが、それでも経済的に苦しくなることもあります。特にインスリン治療が始まると、インスリンなどの薬代だけでなく、在宅自己注射指導管理料が加算されるようになります。さらに自己血糖測定も行う場合は血糖自己測定指導加算も加わります。
経済的に苦しく、インスリンの治療費を支払うのが困難という方のために、治療費を軽減する方法を紹介します。
注射の種類などを主治医に相談
インスリン治療に使用するインスリン製剤の価格は薬の種類によって変わります。しかし、インスリン製剤に価格差があることは患者の方にあまり知られていません。実際、インスリン製剤は医師から勧められたものをそのまま使用しているケースがほとんどです。
そもそも、治療は患者と医師が一緒に取り組むものです。薬の選択を医師に丸投げするのではなく、「もっと安くなる方法はありませんか?」などと医師に聞いてみることも大切です。
ジェネリック医薬品への変更
処方される薬などをジェネリック医薬品(後発医薬品)に変更するのも治療費軽減に有効です。ジェネリック医薬品とは新薬(先発医薬品)の特許が切れたあとに販売される、新薬と同じ有効成分を同量含み、同等の効き目があると認められた医薬品のことをいいます。ジェネリック医薬品に変更した場合、薬代が半額程度になることもあります。
なお、ジェネリック医薬品を希望する際は、病院や診療所、保険薬局の薬剤師や医師にその旨を伝える必要があります。
糖尿病の医療費が払えない場合は社会保障を受ける
国や自治体によっては、糖尿病や合併症によって障害がある方に役立つ社会保障や支援制度を紹介します。
介護保険制度
介護保険制度とは、日常生活で介護や支援が必要となり、要介護または要支援と認定された人がさまざまな介護サービスを受けられる制度です。対象者は、65歳以上の方(第1号被保険者)あるいは40~64歳で16の特定疾病を持つ方(第2号被保険者)になります。
特定疾病のうち、糖尿病に関係する疾病には糖尿病性神経障害や糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などがあります。
介護保険制度の利用を希望する場合はお住まいの市区町村担当窓口にご相談ください。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、同一月内に病院や薬局で支払った医療費が上限金額を超えた場合に、上限を超えた金額が払い戻される制度のことです。
70歳未満の方で、あらかじめ医療費が高額になることがわかっている場合は、限度額適用認定証を提示すれば、還付の代わりに病院や薬局の窓口で支払う自己負担金額を軽減することができます。
小児慢性特定疾患医療費助成制度
子供の糖尿病は治療期間が長引くことが多いため、医療費が高額になる傾向があります。そのため、小児慢性特定疾患医療費助成制度によって世帯所得に応じて医療費の自己負担金額を軽減することができます。
対象となるのは18歳未満ですが、治療を継続する必要があると認められた場合は20歳未満まで延長することができます。
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当とは、精神あるいは身体に(糖尿病を含む)障害がある20歳未満の子供を持つ保護者に対して支給される手当です。
特別児童扶養手当は病気の状態や日常生活の状況など総合的に鑑みて認定され、所得制限や障害認定基準などの法的支給要件を満たす必要があります。
障害年金
障害年金は、ケガや病気によって何らかの障害がある方が障害等級表の基準に該当すると認定された場合に受給できるものです。
障害等級認定基準のなかで糖尿病患者の方が関係するものとしては以下のようなものがあります。
第1節・・・眼の障害(糖尿病性網膜症による視力低下や視野障害など)
第7節・・・肢体の障害(糖尿病神経障害による下肢切断など)
第11節・・・心疾患による障害(心筋梗塞や狭心症など)
第12節・・・腎疾患による障害(糖尿病性腎症による人工透析)
第15節・・・代謝疾患による障害(糖尿病)
上記のうち第15節以外は糖尿病による合併症と関連する基準になります。
一方、第15節は血糖コントロールが難しい方のうち、日常生活に制限があり支援が必要な場合や労働に厳しい制限が必要な場合に認められることになります。
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法で定めた障害がある場合に居住地の市区町村障害福祉担当窓口に申請を行い、都道府県から認定されることで受け取ることができます。
身体障害者手帳があれば、医療費の助成だけでなく、車いすや補聴器などの購入費用や手すりの取りつけといった住宅リフォーム代の助成などさまざまな支援や福祉サービスを受けることができます。
なお、受けられるサービスや助成金の上限金額は障害の等級や種類によって変わるため、利用前に確認しておくことが重要です。
糖尿病で身体障害者手帳が交付される場合
糖尿病で身体障害者手帳が交付されるケースには以下の4つがあります。
・網膜症による視覚障害を患っている方
・糖尿病足病変の方
・著しく腎機能が低下している方
・人工透析をされている方
身体障害者手帳が交付されるかどうかは患者の方の病状によっても変わりますので、医師に相談してみると良いでしょう。
難病医療費助成制度
難病医療費助成制度は、指定難病の治療に対して必要な医療費の自己負担分を助成してくれる制度です。
この制度は、国から指定難病であると診断され、病気ごとに重症度分類に照らしあわせたときに病気や症状の度合いが一定以上である方が対象となります。
指定難病が原因や治療で糖尿病になってしまった場合
糖尿病自体は国の指定難病ではありません。ただし、指定難病が引き金となった場合や指定難病の治療で糖尿病になった方は難病医療助成制度の対象となる可能性があります。
まとめ
糖尿病治療にかかる費用や経済的な負担を減らす方法について説明しました。
糖尿病の治療費はインスリン注射が始まるとより高額になります。しかし、病状や世帯収入などによっては国や自治体からの助成対象になることもあります。
また、助成が受けられない場合は、ジェネリック医薬品に変更したり、「もっと安い治療薬はありませんか?」と医師に相談することも大切です。
治療費について医師に相談することは恥ずかしいことではありません。積極的に相談することが大切です。