健康診断の結果を見ると、「糖尿病の疑いがあります。医療機関で検査を受けてください」と書かれていましたか?「まさか自分が糖尿病?」とショックを受けますし、糖尿病の検査には一体どんなものがあるのか、よくわかりませんよね。
実は、実際に病院で患者にされるのは採尿や採血が主になるのですが、検査にはさまざまな種類があり、検査の意味を患者自身も把握していれば病状をおさえる助けにもなるんです!
そこでこの記事では、糖尿病の判定・診断に使われる検査や、治療中に行われる検査について、その検査項目や検査方法、検査値について解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください。
糖尿病の判定・診断に使われる検査について
最初に循環器科など糖尿病のための病院へ行くと、まず糖尿病なのかどうかの判定や診断のための検査を受けることになります。どのような検査なのか、以下で見ていきましょう。
2種類の血糖値測定
糖尿病は、血糖値が高いというのが特徴ですので、検査としては血糖値を測定することが主体になります。ただし、血糖値というものは食事と密接な関係があり、食事をした直後にグッと上がり、それからゆっくりと下がってきます。ですから、血糖値を測定するタイミングによって値がずいぶん変わってきますので、診断・判定には下記の2つの検査が行われます。
・随時血糖検査
・早朝空腹時血糖検査
以下で、それぞれについて説明いたします。
検査項目
まず、随時血糖検査ですが、これはその名の通り、特に食後からの時間を決めずに血糖値を測定した値のことです。
また、早朝空腹時血糖検査とは、検査当日に朝食を抜いた状態で血糖値を測定した値のことです。
検査方法
いずれも、採血をして血糖値を測定します。針を腕に挿す時に痛みはありますが、点滴のように長時間かかるわけではありません。採血後、その箇所を押さえておかないと血が出ますので気をつけましょう。場合によっては、バンドを巻き付けてもらうこともあります。
検査値と判定
上記の検査をしたうえで、早朝空腹時血糖検査が126mg/dL以上、または随時血糖検査が200mg/dL以上の場合、「糖尿病型」と判定されます。そして、別の日に再度同じ検査をして、再び「糖尿病型」と判定されると、「糖尿病」と診断されます。
ただし、診断に2日もかかるので、採血で同時に測定できる、後述するHbA1Cの値が基準値を上回っていれば、上記のどちらかが糖尿病型の場合糖尿病と診断されます。
糖尿病の治療中に行われる検査について
糖尿病と診断されてしまうと、定期的に病院へ通うことになります。病院へ行って主にすることは、
・採尿
・採血
・血圧測定
・問診
で、ほぼ検査のために病院へ通い、数値に応じて投薬を行う、という流れになります。なので、通院時には毎回検査がありますので、どういう検査かを知っておくと、お医者さんにも質問しやすくなりますし、病状改善のモチベーションにもつながります。
ということで、次に治療中の検査について説明いたします。
血糖値関係の検査について
治療中にももちろん血糖値そのものの測定はします。ただし、血糖値は先ほども述べたように1日のなかで変動が大きいので、ここからはあまり重視されません。
それよりも重要な血糖値に関係する検査項目として、グリコヘモグロビン検査とグリコアルブミン検査があります。一般的にはグリコヘモグロビン検査が主流ですが、グリコアルブミン検査も治験が行われるなど徐々に導入が進んでいます。
まず、グリコヘモグロビン検査ですが、これは一般にHbA1C(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)と呼ばれています。こちらは、検査前1~2か月前の血糖値の状態が反映されてきます。なので、いくら前日に頑張っても、それまでに不摂生をしていると悪い値が出てきます。
先ほども申し上げた通り、採血して検査します。基準は2種類あるのですが、およそ4.3~5.8%が基準値となります。それ以上となると糖尿病となります。
ただ、検査前の1か月くらい一生懸命運動や食事制限をしていても、HbA1Cには反映されず悪い値が出て、がっかりして怠けてしまった後次に検査をすると今度は先の頑張りがHbA1Cに反映されていい値が出る、というチグハグなことが起こりがちです。
一方、グリコアルブミン検査では検査前約2週間の平均血糖値の状態がわかるため、運動や食事の努力がタイムリーに反映され、改善のモチベーションにつながります。こちらも採血で測定されます。11~16%が基準値で、それ以上が糖尿病となります。
症状や合併症を知るための検査
糖尿病は、直接的には血糖値が高いという病気ですが、この血糖値が高くなる原因は、体内のインシュリンの分泌が低下することにあります。また、血糖値が高い状態が続くと、色々な合併症が起こる可能性があります。
まずは、インシュリンの分泌のされ方の検査について紹介します。代表的なものとしては尿中ケトン体検査があります。尿中に含まれるケトン体の量を調べると、インシュリンの働きが十分かどうかわかります。これは、採尿によって測定します。問題があると、陽性になります。
また、合併症で恐ろしいのは目の病気です。糖尿病網膜症、白内障、緑内障などが起こりやすくなります。下手をすると失明につながりますので、糖尿病を軽く考えてはいけません。検査には、主に眼科で眼底検査を行います。
また、糖尿病腎症もおそろしい合併症です。悪化すると人工透析の可能性があります。これは、採尿して尿中微量アルブミン検査、尿タンパク検査、クレアチニンクリアランス検査などによって測定します。
糖尿病の検査についてのまとめ
糖尿病の検査について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
糖尿病の治療で大事なのは、定期的に検査をして変化をチェックし、悪化しないように運動や食事を適切に行うことです。糖尿病は平時には健康体とあまり変わりませんのでつい軽く考えてしまいがちですが、恐ろしい合併症もあります。
検査の値をものさしにして、節制に努めていきましょう!