糖尿病は眼にも影響するの?眼に関する糖尿病合併症の知識

2019.12.16

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病が悪化すると、失明することがあるという話は聞いたことがある方も多いと思います。この話は本当なのでしょうか?糖尿病になると、みんなが失明してしまうのでしょうか?糖尿病になるといくつかの眼の合併症を引き起こす場合があり、場合によっては失明してしまうこともあります。

眼が見えるということは、人間が外部からの情報を得る手段としてとても重要です。失明してしまっては、生活の質が低下するのは間違いありません。

今回は眼に関連する糖尿病合併症について説明します。正しい知識を身につけ、眼の合併症も予防しましょう。

 

糖尿病がなぜ眼に影響するの?

人間の体内には血管が張り巡らされており、血管は全身に栄養を運ぶ役割をします。眼も例外ではなく、眼にも細い血管が集中して通っています。高血糖の状態が何年も続くと、血管が詰まったり、傷ついたり、血管が固くなったりします。

糖尿病網膜症は細小血管障害の一つですが、これは特に細い血管が集中する場所に起きやすいので、眼は症状の起こりやすい部位と言えます。眼の中にある細い血管の血流が障害されることで、様々な眼の合併症を引き起こすのです。特に多いのが糖尿病網膜症で、他にも角膜障害、白内障、血管新生緑内障、外眼筋麻痺、虹彩炎など、様々な部位に障害を引き起こします。今回はそれらの特徴について説明します。

 

糖尿病網膜症とは

網膜は眼の一番奥にあり、水晶体や硝子体を経由して入ってきた光の情報をを脳に伝達する役割を持っています。網膜にはたくさんの毛細血管が集まっており、それらの毛細血管が神経細胞に酸素や栄養を供給しています。高血糖の状態が長く続くと、この毛細血管内は傷がついたり、詰まったりします。その結果、視力が低下します。

症状が進行すると、網膜出血や網膜剥離が起き、失明することがあります。その機序を詳しく説明します。

糖尿病網膜症は3つの期に分類されます。

一つ目は、単純期です。主に網膜内の血管の透過性が亢進することによって起きるもので、毛細血管瘤、点状出血、硬性白斑などが生じます。次に、前増殖期です。網膜の血管が閉塞することによって起きるもので、軟性白斑、網膜内細小血管異常などが生じます。最後に、増殖期です。さらに症状が進行した末期の状態で、新生血管が出現します。この新生血管は非常に弱く、壊れると硝子体出血を生じます。進行すると、繊維性増殖膜が形成され、この増殖膜が収縮することで牽引性網膜剥離が生じます。黄斑部がむくむ症状があり、それを黄斑浮腫と言います。これはどの病期にも関係なく生じ、視力障害を引き起こします。最初は小さなものですが、進行して黄斑部の中心部まで浮腫が生じると、著しい視力障害となります。

網膜症が問題となるのは、増殖期になるまで自覚的な症状がない場合もあることです。治療の開始が遅いと視力の回復が望めない場合もあるので、定期的な眼科の受診が重要です。

 

糖尿病による角膜障害とは

糖尿病による角膜障害は、糖尿病者の約15%ほどに起きると言われています。角膜とは眼の最も外側にある透明な膜です。糖尿病になると、涙の分泌が少なくなり、角膜の表面が傷つきやすくなります。また、糖尿病になると血管や神経が障害されますが、角膜の感覚神経も鈍麻し、角膜が傷ついても痛みを感じなくなってしまいます。その結果、角膜障害を引き起こし、痛みを感じないために悪化していくケースも少なくありません。

 

糖尿病は白内障にも影響するの?

白内障とは眼の中にある凸型のレンズの役割をしている水晶体が、白く濁ってしまい、視野内が白くかすんだように見えてしまう病気です。原因として最も多いのは、加齢性の変化です。80歳以上の人では、ほぼ全員が白内障による視力の低下を起こします。糖尿病によって白内障となる場合もあります。「仮性糖尿病白内障」と「真性糖尿病白内障」の2 種類に分けられます。「仮性糖尿病白内障」は、加齢性白内障に併発します。「真性糖尿病白内障」は、長期間の高血糖の継続が原因と言われています。高血糖が続けば若年者でも発症する場合があり、進行するペースも速いと言われています。

 

その他の合併症

高血糖が継続すると、水晶体の屈折や調節にも影響を与えると言われています。異常が起きると、近視や遠視が進行し、老眼も早く出現することがあります。脳神経も障害されることもあり、特に外眼筋麻痺が起きる場合があります。外眼筋麻痺が起きると、麻痺側の外側を見ることに制限が出たり、注視した際に物が重なって見える症状が出ます。虹彩にも炎症が起きる場合があり、虹彩の前にある前房という部分ににごりが出て、物がかすんで見えにくくなる症状が出ます。

 

まとめ

糖尿病による眼の合併症では糖尿病網膜症が有名ですが、その他にも様々な合併症を引き起こします。自覚症状が乏しく、症状が出た時はすでに末期で、視力の回復が困難であることもまれではありません。そうならないためにも、定期的な眼科受診をしながら、糖尿病の合併症を予防しましょう。

 

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