糖尿病は進行すると様々な合併症を引き起こし、放置すると重篤な症状になります。しかし、初期には自覚症状が乏しいことが多く、自分で気付かない内に徐々に進行していくことが多い病気です。初期の状態では、「糖尿病かもしれない」と気付くことはまれです。
糖尿病の原因としては、食生活や運動習慣などの生活習慣が大きく影響する一方で、遺伝的な要因も影響します。家族に糖尿病の方がいて、健康診断でも血糖値の異常を指摘された際には、一度検査を受けることをお薦めします。
それでは、糖尿病の検査を受けたい時、どこで受けることができるのでしょうか?また、検査を受けてみたいけど、費用面が心配という方もいるかと思います。今回はこれらの疑問についてお答えします。
糖尿病の検査は何科で受診する?
糖尿病の検査が受けられるのは、以下の科です。
- 内科
- 泌尿器科
- 眼科
- 外科
意外にも多くの科で検査を受けることができます。
治療を進めるにあたっては、まずは検査をして診断を受けなければいけません。日本人のほとんどの糖尿病患者は2型ですが、まず何型の糖尿病なのかを知る必要があります。
糖尿病の診断が受けられるのは、内科や泌尿器科が中心ですが、外科でも受けられる場所もあります。
内科での検査
内科では、糖尿病に関する簡便な検査、診察、相談を受けることができます。
泌尿器科での検査
泌尿器科でも糖尿病を診断し、治療を行うことができます。泌尿器科では、尿検査、血液検査などの簡便な方法から診断を行います。特に、腎機能障害についての治療は泌尿器科が専門です。自覚症状として、尿の回数が増えたり、尿の臭いが気になったり、喉の渇きを強く感じるなどの変化を感じた際には、泌尿器科で調べてもらいましょう。
眼科での検査
眼科では糖尿病に対する総合的な検査は行いません。しかし、眼の専門的な検査や治療が必要な場合には眼科の受診が必要です。
外科での検査
外科でも簡便な検査は行いますが、一般的に総合的な検査は行うことはできません。減量外来を設けている所では、生活習慣に対する相談や指導を受けることができます。外科でしか行わない治療は、糖尿病合併症の足病変などの手術、手術を用いた減量などです。食事療法や運動療法を継続しているのに効果が現れず、肥満度が高くなり、健康を脅かす状態になった際に減量手術を行う場合があります。
糖尿病内科の治療を受けながら、外科の治療を検討する場合もあります。
受診する際に注意すべきこと
内科のかかりつけ病院がある方も多いと思います。内科でももちろん糖尿病に関する簡便な検査、診察、相談を受けることができます。
しかし気付かないうちに進行したり、糖尿病の原因がすい臓がんなどの別の病気からくる場合や、様々な合併症を引き起こしている可能性もあるため、受診する科を選ぶ際には注意が必要です。
糖尿病専門医のいる医療施設がおすすめ
それでは、どこで検査を受けるのがより適切なのでしょうか。
まず最初に検査を受けるのは、糖尿病専門医のいる医療施設をお勧めします。
内科の中でも糖尿病専門医のいる医療施設には、「糖尿病科」「糖尿病内科」「内分泌代謝内科」などの科があります。
- 糖尿病科
- 糖尿病内科
- 内分泌代謝内科
糖尿病によって出現する症状やその程度に応じては、一つの病院では治療が対応しきれなくなる場合もあります。その場合は、複数の病院を併用して定期的に受診する必要も出てきます。
上述した糖尿病専門医のいる糖尿病内科などは、内科よりもより詳細な検査を受けることができます。糖尿病かもしれないと少しでも感じたら、初期の段階で総合的に詳しく検査をしてもらうことをお勧めします。
糖尿病内科で行う主な検査
- 血糖値やHbA1Cの測定
- コレステロール
- 中性脂肪の測定
- 血圧の測定
- 尿糖検査
- インスリン分泌量の測定
- 視力や視野の検査
- 眼底検査
- 超音波検査
などがあります。
内科では行わない詳細な検査を行うことで、糖尿病の種類を特定するので、糖尿病かどうか気になっている人には安心です。
検査のみではなく、看護師や管理栄養士による生活習慣や体重減量のための相談と指導、健康運動訓練士などによる運動療法についての指導などを受けることができるのも利点の一つです。
糖尿病の検査費用
病院を受診して検査を受けると、国で決められた診療報酬が発生します。検査一つ一つについても細かく基準が定められています。医療費は1点が10円で計算され、3割の負担の方はそれに3をかけて計算します。検査を受ける際の目安になるため、主に行う検査の費用を以下に示します。
- 初診料:288点(18~20時の場合は338点。)
- 再診料:73点(18~20時の場合は123点。)
- 外来管理加算:52点(再診時に必要な医学管理を行った場合。)
- 特定疾患療養管理料:225点(治療の計画を立て、必要な説明を行った場合。診療所の場合。病院の場合は病床によって変わります。)
- 手技料:25点(採血をすると算定されます。)
- HbA1Cの測定:49点
- 血糖の測定:11点
- 判断料:144点・125点(HbA1Cや血糖値等の採血をすると加算されます。検査内容によって異なります。)
- 尿検査:26点
- 皮下連続式グルコース測定:700点
- 糖負荷試験:200点(常用負荷試験)、900点(耐糖能精密検査)
- 内分泌学的検査:109点(インスリン)
- 眼底カメラ撮影:54点(アナログ撮影)、58点(デジタル撮影)
- 量的視野検査:195点(動的)、290点(静的)
- 超音波検査:350点(頭頸部、四肢の場合。その他も部位によって異なります。)
どの検査をどこまでするかによっても費用は大きく異なります。上記を参考に検討してみて下さい。
まとめ・糖尿病の検査は何科がよいのか?受診する際に注意したいこと
糖尿病の検査は内科、泌尿器科、眼科、外科で受けることが出来ます。しかし、何か自覚症状を感じた際にはすでにかなり進行している場合が多いです。その原因や合併症の有無を知るためにも、初めは総合的な検査を受けることができる糖尿病専門医のいる医療機関が安心です。
検査にかかる費用は国で決められた診療報酬によって決まっており、何を受けるかによっても異なります。様々な検査を受けると費用は結構かかりますが、原因や合併症の状態を知ることも重要です。自分の状態に合った治療を受けるためにも、ぜひ検討してみて下さい。