肝障害の正体と発生理由
肝機能障害(肝障害)とは、肝臓の機能が障害されている状態をいいます。
多くの場合、血液の肝機能検査で異常値を示している場合に肝障害といいます。
肝障害の主な原因は、B型・C型肝炎ウイルスによる肝炎や、アルコールの長期摂取によるアルコール性肝障害、薬剤の服用によって起こる薬物性肝障害、自己免疫の異常による自己免疫性肝障害などさまざまです。
アルコールや炎症などで長期間にわたって肝細胞が壊されると、正常な肝細胞は少しずつ減り、線維が増え続けていきます。
肝臓の病気は、なにが原因であっても、病態が慢性に進行すると最終的には肝硬変から肝不全に行き着きます。
ただし、肝硬変になるスピードは肝臓の壊れ方によって異なります。
例えば、C型肝炎のように20~30年かかって徐々に肝硬変に向かっていく場合もあります。
肝硬変ではありませんが、劇症肝炎などは肝臓が一気に壊れて1~2週間で死亡したりします。
アルコールを飲んでいなくても、肥満の人は肝機能障害を認めることが多く、糖尿病、高血圧、脂質異常症を合併している人ではその傾向が強く見られます。
肝障害の大部分「肝炎」の原因
肝炎の大部分は、肝炎ウイルスによる感染が原因です。
肝炎ウイルスが肝細胞に感染すると、これを対外に除外する「免疫」という反応により炎症が起こり、肝臓に集まったリンパ球がウイルスに感染している肝細胞を攻撃します。
日本では肝炎の原因として、約70%がC型肝炎ウイルス、15~20%がB型肝炎ウイルスの感染によるといわれています。
また、ウイルス感染ではなく、誤って自分の肝細胞を攻撃する「自己免疫性肝炎」というものが原因となる場合もあります。
しかし、肝炎と肝硬変の原因は、ウイルス感染や自己免疫性肝炎によるものだけではありません。
アルコールの飲みすぎや肥満、糖尿病などによって、肝細胞に脂肪が溜まる場合も肝臓に炎症が起こります。
これを「脂肪性肝炎」と呼び、慢性肝炎と同じように肝線維化が進むと肝硬変、肝がんを併発する場合もあります。