糖尿病は、さまざまな原因で高血糖状態が続く病気です。初期段階では自覚症状はほとんどありませんが、そのまま放置しておくとさまざまな症状が現れます。
糖尿病が進行すると手や足の指に痛みやしびれなどの症状が現れることもあります。
糖尿病と手足の痛みやしびれは一見関係がなさそうに思えますが、なぜ糖尿病になると手足に痛みやしびれを感じるのでしょうか。
また、これらの症状が出たからといって自己判断は禁物です。糖尿病の神経障害は病状によって治療法が変わります。
この記事では、糖尿病によって手足にしびれや痛みを感じる理由や治療法について解説します。
糖尿病が指先に引き起こす症状
糖尿病を放置すると手足に以下のような症状が現れることがあります。
- 手のしびれや足の指の痛み
- 指先や手足の感覚が鈍くなる
以下で詳しく見ていきます。
手や足の指先のしびれや痛み
糖尿病の手足の症状としては、まず足の裏や足の指にしびれや痛みを感じるようになります。はじめのうちは手指に症状は現れません。しかし、糖尿病が進行すると手の指にもしびれや痛みなどの症状が現れるようになります。
指先や手足の感覚が鈍くなる
さらに糖尿病が進行すると手足の感覚が鈍くなります。これは糖尿病の進行に伴って神経の働きが失われることによるものです。
手足の感覚が鈍くなると、ケガや火傷をしても痛みを感じないためケガをしていることに気付きにくくなります。
早い段階で処置をすれば治るような軽い傷であっても、傷があることに気付かずに放置してしまい、治りにくくなることがあります。最悪の場合、感染症にかかり、細胞が壊死することもあります。
糖尿病で手足の指先に痛みが出る原因
糖尿病による手足の指先の痛みやしびれは糖尿病の合併症によるものです。
糖尿病の代表的な合併症として「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」の3つがあります。糖尿病の手足の指先のしびれや痛みは糖尿病神経障害の症状になります。ではなぜ糖尿病が進行すると手足の指先にしびれや痛みなどの神経障害が生じるのでしょうか。
明確な原因はわかっていませんが、高血糖状態が続くことでソルビトールという神経障害を引き起こす物質が神経細胞に蓄積することが原因とする説があります。
こちらも併せてご参照ください
糖尿病の血糖値と関係|正常値と目標値を把握しよう
一方、高血糖状態が続くと毛細血管の血流が悪くなります。血流が悪くなると神経細胞にとって必要な栄養や酸素が運ばれにくくなるため神経障害が起こるという説もあります。
糖尿病の合併症、神経障害の治療法
糖尿病の神経障害が軽度の場合、生活習慣や内服薬によって血糖コントロールを行い、症状を進行させないことが重要です。症状によっては痛みや症状を軽減するための薬物療法を取り入れることもありますが、いずれにしても血糖コントロールは必須になります。
食事療法
糖尿病は高血糖が続く病気です。食事の量や食べ方、食事内容を調整する食事療法は血糖コントロールに有効です。
糖尿病の食事療法では以下の7つのポイントが重要になります。
- 1日分のエネルギー量を主治医に確認する
- 栄養バランスの良い食事を1日3食規則正しく食べる
- よく噛み、ゆっくりと食べる
- 夜食を避ける
- 肉類の脂肪・塩分は減らす
- 食物繊維を積極的に取る
- 外食では一品料理を避け、油の少ない和食や魚を選ぶ
運動療法
一般的に、糖尿病の血糖コントロールは食事療法と運動療法を併せて行うことが効果的といわれています。
運動療法は肥満を解消してインスリンの働きを良くしたり、血中のブドウ糖を消費することで血糖値を下げる効果があります。
ただし、糖尿病の神経障害が重い場合は運動することは避けたほうが良いでしょう。
神経障害が重い患者の方が運動を行うと、ケガをしても気付かずに放置してしまうことがあります。また、自律神経に障害がある場合は低血糖が起こっても気付かず、意識障害を起こすこともあります。
運動療法を取り入れるべきかわからない、運動療法を取り入れたいといった場合は必ず医師に相談しましょう。
薬物療法
糖尿病の神経障害では、非ステロイド性消炎鎮痛剤や抗うつ剤、抗てんかん薬などでしびれや痛みなどの症状を抑える治療を行うことがあります。
また、状況によって症状をやわらげるためにアルドース還元酵素阻害薬を用いられることもあります。先ほど、糖尿病の神経障害はソルビトールという物質が神経細胞に蓄積することが原因といわれていると説明しました。
ソルビトールはアルドース還元酵素の働きによって体内でブドウ糖から生成されます。アルドース還元酵素阻害薬はアルドース還元酵素を阻害するため、ソルビトールの生成を抑える効果があるのです。
糖尿病の合併症、神経障害のチェックシート
糖尿病と診断され、手や足にしびれや痛みがある。
これは糖尿病による症状なのかどうか心配ですよね。糖尿病の神経障害に関しては以下のようなチェックリストがあります。こまめに自分の手足をチェックし、「おかしいな」と思ったら医師に相談してみると良いでしょう。
【足の症状のチェックリスト】
・明日の先がピリピリ・ジンジンする
・足の先に痛みがある
・足の先がしびれる
・足の感覚に異常がある(痛みを感じにくい・感覚が鈍い・ザラザラした感触など)
・足がつる(こむら返り)
【足の外観のチェックリスト】
・皮膚が赤くなったり、腫れている部分がある
・小さな傷が治りづらい
・まめやたこ、うおのめ、靴擦れができやすい
・皮膚が乾燥する
・皮膚にひび割れがある
・皮膚の硬い部分が増えてきた
・みずむしなどの感染症がある
日本医師会のウェブサイトでは以下のチェックシートを掲載しています。こちらも併せて参考にしてください。
引用元:日本医師会「糖尿病患者さん足チェックシート」
まとめ・糖尿病、指先のしびれや痛みに要注意
糖尿病の手や足の指先に現れる症状や治療法について解説しました。
手足のしびれや痛みを糖尿病の症状だと気付かず放置してしまうと細胞が壊死し、最悪の場合、足を切断することもあります。特に足の裏や足の先は意識しなければ「じっくり観察しよう」なんて思いませんよね。
ここで紹介したチェックリストやチェックシートなどを利用し、こまめに手足のチェックを行うことが大切です。少しでも違和感を感じたら、自己判断せず必ず医師に相談しましょう。
尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。