「糖尿病は遺伝する」などと聞いたことはありませんか?健康診断の問診でも糖尿病などの一部の病気は家族の既往歴を聞かれますよね。では、糖尿病は本当に遺伝するのでしょうか。遺伝するのが事実ならどういった対策を取れば良いのでしょうか。
この記事では糖尿病は遺伝するのか、遺伝する場合はどう予防したら良いのかについて解説します。
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糖尿病の種類について
糖尿病は高血糖状態が続く病気です。糖尿病は発症原因によって以下の4つに分類されます。
・1型糖尿病
・2型糖尿病
・妊娠糖尿病
・その他の糖尿病
同じ種類の糖尿病であっても人によって生活習慣や合併症が違うため、治療方法も1人ずつ異なります。上記4つの糖尿病なかから、1型糖尿病と2型糖尿病について以下で説明していきます。
1型糖尿病の特徴
食事をすると、すい臓のランゲルハンス島という組織にあるβ細胞からインスリンが分泌されます。インスリンは血液中の糖を細胞に取り込みやすくする働きがあるため、血糖値を下げる効果があります。
しかし、1型糖尿病はほとんど、あるいは全くインスリンを分泌することができません。そのため、1型糖尿病の場合は体の外から注射でインスリンを補充する必要があります。
1型糖尿病も後述する2型糖尿病も高血糖が続くことによる症状が現れます。ただし、1型糖尿病では以下のような症状が「突然」かつ「急に」が現れることが特徴です。
・多飲
・頻尿
・倦怠感
・急激な体重減少
1型糖尿病の原因ははっきりとはわかっていませんが、免疫反応の異常(自己免疫)によってすい臓のβ細胞が破壊されることが原因と考えられています。1型糖尿病の遺伝性については後述します。
2型糖尿病の特徴
現在、日本の糖尿病患者の9割以上が2型糖尿病といわれています。2型糖尿病はインスリンの分泌量が減ったり、インスリンの作用不足によって血糖値が高い状態が続く病気です。2型糖尿病は初期段階ではほとんど自覚症状が見られません。
しかし、病気が進行すると、以下のような症状が「少しずつ」「ゆっくりと」現れます。
・皮膚がかゆい
・皮膚の乾燥
・頻尿
・手足の痺れや違和感
・傷が治りにくい
・多飲
・倦怠感
・目がかすむ
2型糖尿病は体質などの遺伝的要因と食生活などの生活習慣が組み合わさることで発症するといわれています。そのため、2型糖尿病の場合は食事療法と運動療法で血糖値をコントロールし、それでも改善しない場合は薬物療法を取り入れるというのが治療の基本になります。2型糖尿病の遺伝性についても後述します。
糖尿病が遺伝する可能性について
糖尿病は発症原因が種類によって異なるため、遺伝するかどうかも糖尿病の種類によって違います。1型糖尿病と2型糖尿病について遺伝する可能性があるかどうか見ていきます。
1型糖尿病の遺伝の可能性
前述のとおり、1型糖尿病の原因ははっきりとはわかっていませんが、自己免疫によってインスリンを分泌するβ細胞が破壊されることが原因といわれています。そのため、1型糖尿病の発症に特定の遺伝子が影響しているわけではないと考えられています。
2型糖尿病の遺伝の可能性
2型糖尿病は体質などの遺伝的要因と食生活などの生活習慣が組み合わさることが原因といわれています。一方、遺伝というわけではありませんが、乱れた食習慣や運動不足など「糖尿病の引き金になりやすい生活習慣」を家族から引き継ぐことがあれば家族内で糖尿病を発症する可能性が高くなります。
糖尿病の予防について
前述のとおり、2型糖尿病は遺伝的要因と生活習慣が組み合わさることで発症するといわれています。体質などの遺伝的要因は変えることができませんが、食習慣や運動などの生活習慣を改善すれば糖尿病の予防につながります。
一方、1型糖尿病は突発的に発症するうえ、いまだに明確な原因がわかっていないため、予防することは難しいというのが現状です。
食生活の改善
食べ過ぎが続くと、すい臓はインスリンを多く分泌しようとします。その結果、すい臓は疲弊してしまい、インスリンの分泌量が減ってしまいます。糖尿病予防を目的とした食習慣の改善では、食べ過ぎを防ぎ、すい臓に負担を軽くすることが基本になります。
また、食習慣の改善の際は以下のポイントを押さえて行うとより効果的です。
・栄養バランスの良い食事を摂る
・一日3食(朝・昼・夕)しっかり摂る
・ゆっくりよく噛んで食べる
・夜食を避ける
・外食時は和定食を選ぶ
運動
運動は糖を細胞に取り込みやすくするため、血糖値を下げる効果があります。糖尿病予防のために運動を取り入れる際は以下の点に注意して行うことが大切です。
・持病がある場合は医師に相談してから行う
・準備運動と整理運動を必ず行う
・体調が悪いときは無理をしない
・毎日継続できる運動を選ぶ
まとめ
糖尿病は遺伝するのかについて解説しました。2型糖尿病には遺伝的要因があるため、家族に糖尿病の既往歴がある方は糖尿病を発症しないよう注意が必要です。逆にいえば、努力次第で2型糖尿病は予防できる可能性あるということです。
糖尿病と診断されていない段階から食事や運動に気を配り、糖尿病を発症しないように心がけましょう。