糖尿病患者のむくみの原因|合併症で腎臓の働きが低下している

2021.08.20

カテゴリー: 糖尿病

2型糖尿病と診断されてからむくみがひどくなってきた…

糖尿病は進行すると腎臓に影響をおよぼすことがあります。糖尿病は「サイレントキラー」「初期段階では自覚症状がほとんどない」といわれるだけに、「むくみがあるということは症状が悪化しているのではないか」と心配になりますよね。

この記事では、糖尿病でむくみが生じる原因やむくみの改善方法について見ていきます。

糖尿病患者のむくみの原因

糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると重大な合併症を招くことがあります。

糖尿病の合併症の1つに糖尿病性腎症があります。糖尿病性腎症は進行段階によって後述する5つの病期にわかれます。糖尿病性腎症は、初期段階では糖尿病以外に何か症状が現れるということはありませんが、進行すると尿にタンパク質が出てくるようになります。ここまでくると、むくみを始め、さまざまな症状が現れるようになります。

糖尿病性腎症とは

腎臓には糸球体と呼ばれる毛細血管の塊があり、血液中の老廃物を濾過して尿として排泄します。

糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気です。高血糖状態が続くことにより細い血管が障害されると、神経や網膜、腎臓など毛細血管が多い部分に症状が現れます。糖尿病性腎症は、毛細血管の塊である糸球体が傷付き、老廃物がうまく濾過できなくなることで発症するといわれています。

糖尿病性腎症の発生状況や発症する時期、症状について以下で詳しく見ていきます。

糖尿病性腎症は糖尿病の合併症の1

糖尿病の3大合併症のひとつ

つです。なかでも糖尿病性腎症・糖尿病網膜症・糖尿病神経障害は発症頻度が高いため、糖尿病の3大合併症といわれています。糖尿病性腎症は進行段階によって5つの病期に分類され、それぞれの病期で症状や治療法が異なります。第5期まで進行すると透析療法が必要になります。2017年のデータによると、糖尿病性腎症が原因による人工透析導入患者の割合は42.5%と、全透析患者のうち最も高くなっています。

こちらも併せてご参照ください
糖尿病の三大合併症とは|症状別の病期に現れる異常を知る

合併症の発症時期

通常、糖尿病を発症してから5~15年経過後に糖尿病性腎症の症状が現れます。

第3期まで進むと進行を遅らせることはできますが、元の状態まで改善することはできません。さらに、第3期以降は進行が早まり、2~5年で人工透析にいたってしまいます。そのため、糖尿病性腎症は早期発見、早期治療が重要になります。

糖尿病性腎症の症状

糖尿病性腎症は病期によって以下のような症状が現れます。

糖尿病患者のむくみの原因|合併症で腎臓の働きが低下している
糖尿病患者のむくみの原因|合併症で腎臓の働きが低下している

糖尿病性腎症が原因でむくみが現れている場合は、第3期まで進行している可能性があります。また、第5期まで進行してしまうと人工透析を行う必要があります。

むくみの改善

糖尿病を診断され、むくみが生じたときは糖尿病性腎症の可能性があります。この場合はすぐに医師に相談することが大切です。

一方、一時的なむくみの場合は血行を良くすることで改善できることもあります。以下にむくみを解消する方法を紹介します。

・マッサージをする
・入浴して体を温める
・栄養バランスの良い食事を摂る
・運動で筋肉を増やし、基礎代謝を上げる
・こまめに体を動かし、長時間同じ姿勢を取らないようにする

入浴する際は半身浴だと上半身が温まりにくいため、全身浴がおすすめです。また、長時間入浴するとのぼせてしまうため、肩まで湯船につかるのは5分を目安に入浴するようにしましょう。

また、キュウリやスイカなど利尿作用のある食べ物やバナナやりんごなどのカリウムを多く含む食べ物、豆腐や豚肉などのビタミンB1を多く含む食べ物はむくみ解消に効果的といわれています。特に小豆はサポニンという利尿作用のある成分が多いためむくみ解消に効果的といわれています。

むくみは糖尿病以外の病気で発症することもあります。上記の解消法を試してもむくみが改善しない場合は、ほかの病気が隠れていることもありますので必ず医師の診察を受けましょう。

まとめ

糖尿病でむくむ原因と糖尿病性腎症について説明しました。

糖尿病性腎症が原因でむくみが見られる場合は、病気が進行している可能性があります。糖尿病性腎症は進行すると腎移植や人工透析を行うこともあります。さらに人工透析導入後の5年後生存率は約50%といわれ、生命予後も良くありません。

糖尿病性腎症は進行してしまうと健康な状態に戻すことはできない病気です。少しでも病気を進行させないためにも早い段階で医師に相談することが大切です。

このカテゴリーの最新コラムはこちら

前後のコラムはこちら