「糖尿病予備軍」と診断されたというあなた。「最近お腹がゆるい」「消化が悪いものを食べたわけでもないのに下痢が続く」そんなことはありませんか?
あまり知られていませんが、下痢は糖尿病の症状の1つです。
この記事では、なぜ糖尿病で下痢が起こるのか、自分の症状が糖尿病によるものなのかなどについて説明します。
糖尿病と下痢の関係
結論からいうと、糖尿病が原因で下痢になることはあります。
もちろん、下痢などの胃腸の症状は糖尿病だけでなくさまざまな要因で起こることがあります。糖尿病が引き金となって下痢が起こる場合、便利と下痢を繰り返したり、症状が酷くなったり長引くことがあります。
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糖尿病による便秘は合併症が原因|神経障害の関係性と症状
糖尿病で下痢になる原因
糖尿病が引き金となって起こる下痢の原因には以下の2つがあります。
・自律神経障害
・薬の副作用
それぞれ詳しく見ていきます。
自律神経障害
糖尿病による下痢の原因の1つに自律神経障害があります。
糖尿病が進行するとさまざまな合併症を引き起こすことがあります。糖尿病の合併症の代表的なものに糖尿病性神経障害があります。
糖尿病性神経障害によって自律神経が障害されると胃腸運動に異常が起きます。このとき、排便のコントロールがうまくいかず、下痢や便秘が起きやすくなります。
糖尿病性神経障害による下痢は症状が重くなったり、便秘と下痢を繰り返したり、長引くことがあります。一方、糖尿病神経障害による下痢では血便や腹痛は見られないという特徴があります。
薬の副作用
糖尿病の治療薬は、副作用として下痢を引き起こすものがあります。下痢を引き起こす可能性がある治療薬には以下のようなものがあります。
・ビグアナイド薬
・α-グルコシダーゼ阻害薬
ビグアナイド薬
肝臓ではアミノ酸や乳酸からブドウ糖を産生しています。これを糖新生といいます。
ビグアナイド薬は肝臓での糖新生を抑制したり、インスリンの効きを良くする薬です。ビグアナイド薬の副作用に腹痛や下痢があります。
α-グルコシダーゼ阻害薬
α-グルコシダーゼは小腸にある酵素で、炭水化物をブドウ糖に分解して、吸収しやすくする役割があります。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、α-グルコシダーゼの働きを抑制し、ブドウ糖への分解を遅らせることで血糖値の上昇を抑える効果があります。α-グルコシダーゼ阻害薬は副作用として下痢やおなら、膨満感があります。
下痢以外に併発する神経障害の症状
前述のように、糖尿病が引き金となる下痢の原因に、糖尿病性神経障害による自律神経障害があると説明しました。
糖尿病性神経障害は自律神経以外に運動神経や知覚神経などさまざまな神経が障害されます。そのため、下痢だけでなく手足のしびれや痛みなど、さまざまな症状が全身で起こる可能性があります。
なかにはほかの病気と区別しにくいものや日常的に起こりうる症状と似たものもあるため、糖尿病による症状かどうかの判断は困難です。
どのような症状があるか以下で詳しく見ていきましょう。
手足のしびれ
高血糖状態が続くことで末梢神経が障害されると足裏や手足に痛みやしびれなどの異常を感じることがあります。糖尿病性神経障害による手足のしびれは左右対称に症状が現れることが特徴です。
立ちくらみ
高血糖によって自律神経が障害されると、血圧のコントロールがうまくいかずに起立性低血圧(立ちくらみ)を起こすことがあります。
便秘
高血糖によって自律神経が障害されると胃腸運動に異常が起き、下痢だけでなく便秘も起こることがあります。
排尿異常
高血糖によって自律神経が障害されると、膀胱に尿が溜まっているにも関わらず尿意を感じにくくなることがあります。そのため、だんだん膀胱がだんだん大きくなり、排尿する時間が長くなったり、残尿が生じることもあります。
勃起不全(ED)
糖尿病による自律神経障害では勃起不全(ED)が起こることもあります。勃起しても持続しなかったり、固さが不十分になることが続くと、自信をなくし、精神的な影響も出てきます。
発汗異常
汗をかくのも自律神経によるものです。糖尿病で自律神経が障害されると、汗をかきやすくなったり、反対に汗をかきにくくなることがあります。
まとめ
糖尿病が原因で下痢が起こる原因について説明しました。
下痢をはじめ、自律神経が障害されることで起こる症状は糖尿病以外の病気と区別することは難しいです。自己判断せず、必ず医師の診断を受けましょう。
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