生体組織の再生能力を低下させるタンパク質を発見!再生医療への応用が期待!

2019.11.30

再生医療ニュース解説

藤田医科大学(豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98)の応用細胞再生医学講座(研究責任者 教授:赤松 浩彦)・皮膚科学講座(教授:杉浦 一充)と日本メナード化粧品株式会社(名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、共同で、再生医療への応用が進められている「間葉系幹細胞*1」の研究を、2003年より行って参りました。今回、生体組織の再生に関わる幹細胞の分化能を抑制するタンパク質「GREM2(グレムリン2)」を突き止めました。

共同研究のグループは、皮下脂肪に存在する間葉系幹細胞をターゲットに、加齢にともなう幹細胞の能力の変化について解析を進め、以下3つのことが明らかになりました。

1.間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化をGREM2が抑制する。
2.加齢にともない皮下脂肪のGREM2の発現量は増えている。
3.GREM2の発現量を減らすと間葉系幹細胞の分化能は改善する

私たちの生体組織を維持・再生するためには、組織に存在している幹細胞の分化によって新しい細胞を供給することが重要です。今回の研究によって、GREM2は幹細胞の分化能力を抑制していることが明らかになりました。また、GREM2は加齢にともなって発現量が増えていることもわかりました。つまり、加齢によってGREM2が増えると、幹細胞の能力を低下させ、その結果、組織の再生能力が衰えるメカニズムが見えてきました。なお今回の研究から、GREM2の発現量を減らすことで幹細胞の能力を高めることが可能であると期待されたことから、今後GREM2の発現をコントロールする技術が確立できれば、生体組織の再生能力の向上や、再生医療への応用が期待できると考えています。

本研究成果は、2019年10月26日付け科学雑誌「Regenerative Therapy」電子版に掲載されました。

生体組織の再生能力を低下させるタンパク質を発見!再生医療への応用が期待!

*1 間葉系幹細胞
 間葉系幹細胞は、骨髄、臍帯血、歯髄などから分離され再生医療への応用が進められています。なかでも皮下脂肪は、他の組織に比べて幹細胞が豊富に存在し、分離しやすく、幹細胞の供給源として 注目されています。

提供:PR TIMES