糖尿病治療で用いられる医薬品のひとつ、スルホニル尿素(SU)薬について、その効果や特徴を紹介していきます。
使用前に知っておきたい注意点、副作用もまとめていますので、服用の際の参考にしてください。
スルホニル尿素(SU)薬はどんな薬?
ますはスルホニル尿素(SU)薬の概要として、その効果や特徴、服用時に気をつけるべき副作用について見ていきましょう。
スルホニル尿素(SU)薬の効果・特徴
スルホニル尿素(SU)薬が投与されると、すい臓にあるβ細胞への働きかけによりインスリンの分泌が促され、血糖値が下がります。代表的な効果や特徴には、以下が挙げられます。
<SU薬の主な特徴>
経口血糖降下薬の中では最も古い
スルホニル尿素(SU)薬の発売は1950年代。経口血糖降下薬の中では最も歴史のあるお薬です。現在も糖尿病治療で広く用いられており、ほかの薬剤と併せて使われることもあります。
発売された時期により「第1世代」「第2世代」「第3世代」に分類されています。
血糖を下げる効果が強い
スルホニル尿素(SU)薬の大きな特徴に、血糖値を確実に下げる効果があることが挙げられます。
服用すると短時間で強力にインスリンを分泌させる作用があり、比較的効き目の穏やかなものから強力なものまで、さまざまな種類が用意されています。飲み始めには少量が投与されるのが基本です。
低血糖に特に注意が必要
スルホニル尿素(SU)薬は強力な効果が期待される反面、服用した患者さんは低血糖に注意しなければいけません。
そのため、服用中はブドウ糖を持ち歩くよう、医療機関で指導されています。低血糖になったときの対処法についての知識も合わせて身につけておきましょう。
代表的な副作用
スルホニル尿素(SU)薬をはじめとした糖尿病治療薬では、副作用として低血糖が懸念されます。万が一低血糖の症状がみられたときには、すみやかにブドウ糖を摂取しましょう。
15分程度で症状が回復しないときや、血糖値を検査した結果60mg/dlを下回るときは、再度ブドウ糖を摂取します。それでも回復しない場合には医療機関を受診してください。
<低血糖でみられる主な症状>
- 顔面蒼白
- 冷や汗
- 動機
- 意識障害
- けいれん
また、過食や運動不足が続く状態で薬を服用すると、一時的に血糖値が下がったとしても、脂肪細胞が増え、結果的にインスリン抵抗性の状態に戻ることもあります。
服用時間
スルホニル尿素(SU)薬は食前または食後に服用します。1日1回服用する場合は朝、1日2回服用する場合は朝と夕方の時間帯が適切です。
使用前に知っておきたい注意点
スルホニル尿素(SU)薬を継続して服用していると薬剤の効果が弱まってくることがあります。これを「二次無効」といいます。
二次無効は食事療法や運動療法が適切に行われていたとしても生じる可能性があるため常に注意が必要です。
二次無効が見られたら、別の薬剤への切り替えまたは並行して別の薬剤を使用するなどの措置が検討されます。
糖尿病に効果のある薬剤の種類
スルホニル尿素(SU)薬のほかにも糖尿病治療で用いられる薬剤があります。ここでは主な血糖降下薬の種類を紹介していきます。
インスリンの分泌を助ける薬
- スルホニル尿素(SU)薬…すい臓にあるβ細胞に働きかけることでインスリンの分泌を促し、血糖値を下げる効果のある薬剤です。効果は数時間続きます
- 速効型インスリン分泌促進薬…インスリンの分泌を助ける仕組みはスルホニル尿素(SU)薬と同じですが、その効果が続くのは短時間とされています
- DPP-4阻害薬…「GLP-1」という、インスリンの分泌を促進するホルモンの働きを高める新しい薬剤です。低血糖を起こしにくいほか体重増加の心配がないことが特徴です
インスリンの吸収を助ける薬
- ビグアナイド(BG)薬…糖を作る肝臓の働きを抑えたり、ブドウ糖が筋肉などで消費されることを促したりすることで、血糖値を下げる薬剤です。低血糖や体重増加を起こしにくいといわれています。
- チアビリジン薬…筋肉や脂肪にインスリンを効きやすくすることで、ブドウ糖の消費を促し、血糖値を下げる働きがあります。低血糖を起こしにくい一方で、体質によってはむくみや体重増加が見られます。
糖の吸収を調整する薬
- α-グルコシダーゼ阻害薬…小腸でのブドウ糖吸収を遅らせることで食後の急激な血糖値上昇を抑える薬剤です。食前の血糖値はあまり高くないけれど、食後の血糖値が高まりやすい患者さんの治療に用いられます。
糖の排泄を調整する薬
- SGL T2阻害薬…排尿による糖分の排泄を促し、血糖値を下げる新しい薬剤です。腎臓にある近位尿細管という部位で、ブドウ糖が再吸収されることを抑制します。体重の低下作用も期待されています。
まとめ・スルホニル尿素(SU)薬の効果と注意点
スルホニル尿素(SU)薬の効果や副作用など、服用するときに知っておきたい基本知識をまとめました。
血糖値を下げる効果が強い薬剤である反面、低血糖を引き起こすことがあるため、その対処法も含めて理解しておきましょう。
監修:院長 坂本貞範