糖尿病の兆候は、目、足、尿に出る|早期発見で予防する
糖尿病は発症当初、自覚症状がほとんどありません。体の異変を感じたときには、ある程度病状が進行していることがほとんどです。
糖尿病による初期症状が現れていても気がつかず「歳のせい」と放置してしまう人もいます。
糖尿病を放置すると重大な合併症を引き起こすことがあります。ここで糖尿病の症状を把握しておき、早期治療に取り組めるようにしてください。
今回は「目、足、尿」に着目して紹介してきます。
糖尿病の兆候
糖尿病は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。また、症状が出たとしても少しずつ、ゆっくり現れます。
糖尿病の兆候には次のようなものがあります。
- 疲れやすくなる
- おなかが空きやすくなる
- 皮膚が乾燥する
- 皮膚がかゆい
- 切り傷が治りにくくなる
- 手足の感覚が鈍くなる
- 手足にチクチクした痛みが走る
- 目がかすむ
- 頻尿なる
- 尿量が増える
- 感染症にかかりやすくなる
- 勃起不全(ED)など性機能が低下する
そのほかにも、いろいろな部位にさまざまな形で症状が現れますが、本稿では足、目、尿について詳しく紹介していきます。
こちらも併せてご参照ください
糖尿病の初期症状を改善する!早期発見・治療が重要な理由
足に出る兆候
足に出る兆候には下記のようなものがあります。
- 巻き爪
- 靴擦れ
- 爪が厚くなる
- かかとやつま先などが乾燥する
- 水虫
- タコや魚の目
- しびれる
- 痛む
- 感覚がない
- こむら返り
- ほてる
- 冷える
- 歩くふくらはぎが痛む
- 傷が治りにくい
糖尿病患者の方は免疫機能が低下しているので傷が治りづらく、さらに悪化すると足が壊死し、最悪の場合は切断にいたることもあります。
目に出る兆候
糖尿病患者の方の目に現れる兆候は次のとおりです。
- 目がかすむ
- 飛蚊症
- 視野に黒みがかかる
- 急に視力が低下する
飛蚊症とは蚊や煙の煤(すす)のようなものが飛んでいるように見える症状です。
これらの症状は、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症が原因です。この病気は初期では自覚症状がなく、上記のような症状が出るころにはかなり進行しています。
最悪の場合、失明することになるので、目がかすむようなことがあれば、医者の診察を受けましょう。
尿に出る兆候
糖尿病患者の方の尿に現れる兆候とそれに関連した症状を紹介します。
- 尿量が多くなる
- 尿が頻繁に出る
- 喉が渇く
糖尿病で血液中の糖が増えると、大量の糖を薄めるために腎臓が過剰に水分を排出しようとします。そのため、尿が多く出て、身体が水分を欲して喉が渇くようになります。
その他の糖尿病チェックポイント
足、目、尿以外の糖尿病のチェックポイントは次のとおりです。
- 疲れやすい
- 食欲が旺盛になる
- 体重が急に減った
- 物忘れが増える
- 傷が治りにくい
また、糖尿病には遺伝する傾向があります。症状がみられない場合であっても、家族や親族が糖尿病を発症していたり、心臓病や脳卒中を起こしていたりすると遺伝によって糖尿病のリスクが高まります。
糖尿病が進行すると合併症の危険性も高まる
糖尿病が恐いのは、進行すると命にかかわる合併症の発症リスクが高まることです。網膜症は失明を招き、腎症は腎不全を招き、神経障害は足の切断を招くことになりかねません。
さらに脳梗塞や心筋梗塞といった重い後遺症が残ったり、突然死のリスクが高い病気も発症しやすくなります。
こうした重い病気を起こさないためには、症状を早めに感じ取り、糖尿病を早期発見して予防に努めることが大切です。
では、どのようなことに取り組めば糖尿病の進行を防げるのか、みていきましょう。
糖尿病を予防するには
糖尿病の進行を防ぐには、食事療法・運動療法・ストレス対策の3つに取り組む必要があります。
どのようなことをすれば良いのか、ひとつずつみていきましょう。
<食事療法>
糖尿病の食事療法では、摂取エネルギーと栄養素に着目します。
糖尿病患者の方は、1日の摂取エネルギーを「標準体重×身体活動量」以下にするようにしましょう。標準体重と身体活動量は以下のとおりです。
- 標準体重=身長(m)×身長(m)×22
- 身体活動量
- 軽い労作(デスクワークが主な人):25~30kcal/kg
- 普通の労作(立ち仕事が多い):30~35kcal/kg
- 重い労作(力仕事が多い) :35~kcal/kg
例えば、身長160センチ(1.6m)の普通の労作の人の1日の摂取カロリーは1,690~1,971kcalです。
- 計算式は以下のとおりです
- 1日の摂取カロリー=1.6m×1.6m×22×30~35kcal/kg=1,689.6~1,971.2kcal
栄養素はバランスよく摂ることが大切です。
1日の摂取カロリーの内訳を次のように配分するように心がけましょう。
- 炭水化物:55~60%
- たんぱく質:標準体重1kgあたり1.0~1.2g
- 脂質:残り
さらにビタミンやミネラルも意識して摂るようにしてください。
<運動療法>
糖尿病患者の方のなかには、運動が苦手な方や運動する時間がない方も多いと思いますが、運動をするとインスリンが効きやすい体になります。
インスリンは血糖値を下げるホルモンですから、運動は糖尿病予防に効果的なのです。
特に糖尿病治療に有効とされているのは、ウォーキング、ラジオ体操、自転車、ジョギング、水泳などの有酸素運動です。これらの運動を1回20~40分、週3回を目安に実施してください。
運動習慣がない方が急に負荷が大きい運動を始めると低血糖を引き起こしたり関節に負担がかかったりしますので、無理のない範囲から始めてください。
<ストレス対策>
糖尿病は、患者の方の心の動きや置かれている社会環境の影響を受けます。過度なストレスを受けるとストレスによって分泌されるホルモンの関係で血糖コントロールが難しくなるためです。
したがって、意識的にストレスを解消することは糖尿病の悪化の予防と改善に繋がります。
しかし、ストレスを解消しなければいけないことはわかっているけど、「どのようにストレスを解消したら良いのかわからない」という方も少なくないと思います。
そこで「休息」「気分転換」「ストレス原因から離れる」の3つに取り組んでみてください。
まずは、
- 休息を取る
- 趣味や好きなことをして気分転換をする
- ストレスの原因から離れる
といったことを積極的に取り入れましょう。
例えば、職場の理解を得て休みをとり、趣味や旅行で息抜きをしてみるとよいでしょう。
心に余裕ができると、どんなことにストレスに感じていたのか気づくかもしれません。
まとめ・糖尿病の兆候は、目、足、尿に出る|早期発見で予防する
今回は糖尿病の症状のうち、目、足、尿に注目してみました。
糖尿病は初期段階では自覚症状がありませんが、必ず自覚症状が出てきます。わずかな自覚症状が出た段階で予防・改善に進まなければ、合併症を招き、悲惨な結末を迎えてしまいます。
ですから、足、目、尿はじめとした身体の「小さな変化」を見逃さないようにしてください。
「いつもと何かおかしい…」「糖尿病の症状かもしれない」と感じたら、近所の内科クリニックや糖尿病専門のクリニックを受診してください。
糖尿病対策に「早すぎる」ことはありません。
監修:院長 坂本貞範